令和6年度介護報酬改定から見る老健に求められる医療対応🏥
 今回の介護報酬改定では、介護保険サービスで更に医療的な対応が求められていく傾向があります。

 「所定疾患施設療養費」は、投薬・検査・注射・処置等を行った場合に算定できる加算ですが、肺炎・尿路感染・帯状疱疹・蜂窩織炎に今回、「慢性心不全憎悪」が追加されました。
 感染症への対応は、「高齢者施設等感染対策向上加算」で発生に備え、医療機関との連携や研修(訓練)を行うことが求められ、施設内での療養は「新興感染症等施設療養費」で対応することになります。(新型コロナウイルス感染症は該当せず、パンデミックを引き起こすレベルの指定された新たな感染症が該当します。)
 「初期加算」の上位加算が新設され、急性期医療からの老健受け入れも促されています。医療機関からのスピーディーな受入れや情報連携が求められていくことになります。
 また、短期入所療養介護では「総合医学管理加算」の算定日数が7日から10日となり、居宅サービスのケアプランで予定していなかった緊急的な利用のみ対象であったものが、計画的な利用であっても対応が可能となります。明確に治療管理を目的とした短期間の入所が促されています。
 これらの対応は、施設の設備や体制、状況に大きく左右されますのでどの老健でも同じように対応できるものではありません。慎重な検討や整備が行われ、各施設の方向性が示されていくことになるでしょう。どこまでの対応ができるかは、共通の不安であると思いますが、報酬改定では「協力医療機関との連携体制の構築」を今後義務付けることで、施設内で対応可能な範囲を見極めていくことが示されています。
 検査機能の少ない老健にとって、「必要な医療」を見極めていくことは非常に難しいことであると言えます。しかし、老健では些細な変化に気付くことができる多くの職種が普段の生活を支えています。これまで培った職種の連携力を発揮し、その人にとって必要な医療を見極め、医療を受ける権利をきちんと守っていくことが必要になると思います。